【絵本】信仰と思慕のエルデュラヒム [古都デュナルベルグ] | DLsite 同人 – R18
あらすじ
信仰心に狂うこととなった騎士の生い立ちのお話です。
飾り窓で飾られた物静かで悲しい絵本の物語をお楽しみください。
全8ページです。
サンプル
購入はこちらから
レビュー
養子が醜い故に、周りから虐げられてきた男が、偶然通りかった少女に助けられ、それ以降その少女の騎士団に入団。少女の教えを頑なに貫く様子を見て、人々は彼を狂信者と畏怖します。慈悲深き少女に救われたかに見える男ですが、「聖教の教えを貫くならば」という条件付きであり、少女は男を利用している雰囲気がプンします。しかし真実を知らない方が男にとっては幸せなのかなとも思いますね。 主人公のエルデュラヒムが聖少女に救われ、彼女の為になる行動をしているのは間違いありません。
自分を虐げる人ばかりの中で、自分を救ってくれた聖少女が神のように見えるのも理解できます。
しかし、そこで終わらず、そこから周りにも恐れられるほど信仰に狂っていくことで、結局もとのように周囲の人から悪感情を抱かれている状態になってしまっていることがもどかしいと感じました。
狂信者となったエルデュラヒムには聖少女がついているので、彼自身は幸せなのだろうと思いつ、周りの人々の見方が変わっているようで実は根本が変わっていないようにも見えるのが面白いと思いました。 デュナの絵本シリーズには多くの騎士が出てくるが、この作品は信仰に殉じている騎士の来歴を語るという内容である。
表紙の騎士の構図は非常に正統派であるが、その内実はどうなのであろうか。騎士の背後と盾に描かれた少女は、仏教やキリスト教などの宗教絵画においてnimbus(ニンバス・ニンブス)または光背(こうはい)と呼ばれる、聖なるものから放たれる光明の表現を用いて描かれている。つまりこの少女がこの騎士のご本尊ということである。
さて、この物語の主人公エルデュラヒムは、この騎士の甲冑の中に居る人物なのだが、サンプル画像からわかる通り、大柄なのに子供に反撃を行わない気弱な人物であった。そして醜さゆえに迫害を受ける集団の中の異端。それがなぜ騎士の鎧を身にまとい狂信の騎士と畏怖されるに至ったのか?エルデュラヒムはおそらく、純粋な人間である。集団の異端者であった彼は、今どんな顔をして信仰という「宗教集団」の最も規範的な位置に居るのだろうか。顔は見えない。
きっとこの物語に嘘はない。しかし、以前のエルデュラヒムと今のエルデュラヒムのどちらが美しいのだろう。私にはわからなくなった。 敢えて悪い取り方も良い取り方も出来るような気がする掌編。私は素直に、気弱な男が励みになる対象を得て強く、勇ましくなった話かなと一周して一番に思ったけれど…。どうだろう? 少女の優しさは宗教の教祖の勧誘のパフォーマンス的なものかもしれないし、だからってそれが何?悪い事?とも思うし…。
なんて考えず、シンプルに信仰と愛情が混じった男の話と取る方が美しいかな。 人間は人生の最大の危機と思われる時に助けられると、その助けてくれた存在に恩を感じることがあります。
時と場合によっては恩返しとして、何かをすることもあるでしょう。
助かった、または嬉しいという気持ちが身体の底から湧き上がるので、お礼に何かしてあげたくてたまらない気持ちにもなるからです。
エルデュラヒムも同じように、絶望してしまってもおかしくない環境にいました。
そこを偶然通りがかった聖女が助けてくれたわけです。
更に彼は、聖教の教えを貫くのであれば汝は美しいという言葉もかけてもらっています。
これが基となって聖教騎士団に入り、聖女に仇なす者達を次々と倒していったので、彼は恩返しもしていたのだなって思いました。
自分の容姿に対する劣等感を彼女が拭い去ってくれた、この気持ちこそが恩ですね。