【絵本】羊の唄の国の騎士 [古都デュナルベルグ] | DLsite 同人 – R18
あらすじ
ここは”シープソングランド”羊の唄をくちずさみ、悪夢におびえる眠りの国。
【悪夢の病】が蔓延するこの国で悪夢を狩る騎士と、聖女の物語。
飾り窓で飾られて物静かでどこか悲しい物語の絵本をお楽しみください。
表紙をあわせて全74ページとなっております。
※2021年12月16日 【修正】
45ページ目のレナールの顔の輪郭が少し気に入らなかったので修正しました。
サンプル
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レビュー
この作品の属するデュナの絵本シリーズは、古都デュナルベルグで発掘された絵本のシリーズとして描かれています。その中でもこの作品は、「シープソングランド」という「眠りの国」があるのだという話の始まり方をするので、まさしく「童話」や「お伽話」の要素が強い作品と言えるでしょう。この作品の重要設定である【悪夢狩りの騎士】は、かなり苛烈な宿命を持った組織であり、トリアージ的な対処のために悪夢病を完全に発症していない人間を斬ることもあるというところに、ダークファンタジー系の暗い世界観を感じます。こに【眠る者】という、たった一人で状況を好転させる存在が現れますが、それでも完全には全員を救えないあたりに悪夢の根深さを感じます。全体を通して読んでみても、シリアスのタグに偽りなく、かなり引き込まれる作風でした。 主人公の騎士が抱えていた苦悩、そこを乗り越えた先に生まれた関係、そして犠牲の下に訪れた平和。
かなりのボリュームがありましたが、一枚の文章は少なめで、且つイラストもどん変わっていくので、あっという間に読めてしまいました!
すぐに読めてしまったのは、引き込まれる世界観が広がっていたから、という部分も大きいですね。
残された聖女は、騎士のいなくなった平和な世で何を思うのか?
そんな切ない想像をさせる幕引きでしたが、とても面白い作品でした! 例えば非常に困った事態が発生したもの、普通の人には手が出せない状況だっため、誰にも助けてもらえなかったとします。
そんな状況にあったのを助けられたとしたら、どんな気持ちになるでしょうか?
私だったら手を差し伸べてくれた人を恩人とみなして、一生忘れることはないです。
その人が困っていたら、必ず助けようとも考える気がします。
実はこの作品内に出てくるレナールもそうした思いを抱いていたのです。
彼は眠る者に対して騎士の誓いも立ています。
過去の悪夢からの解放は、それほど感動的なことだったのだなと思いました。
彼のこの思いは、後に眠りの者を助けるという結果にもつながっています。
眠りを妨げる者を罰するために、自分自身を捨ているのが凄まじいところです。
語られることのなかった英雄レナール、この名前を彼に与えてあげたいなって気持ちにもなりました。 悪夢にうなされ怪物と化してしまう病に侵された国で、その悪夢を丸ごと受け取り人々を救う聖女と、怪物と化した者たちを葬り続ける騎士の物語。
騎士レナールはなぜ悪夢を見ても怪物と化さなかったのかという疑問が生じましたが、騎士になるぐらいですから精神力が強かったのでしょうか。「眠る者」に自分の悲しみを掬い取られたレナールは、以後忠誠を誓い以前のような怒りや憎しみに任せるのではなく、慈悲を込めて怪物たちを葬るようになります。
シープソングランドは二人のおかげで平穏を取り戻したかに思われましたが、
今まで人々の為に粉骨砕身してきた「眠る者」に終わりの時が近づきます。
ラストのレナールの行動に究極の忠誠心を感じました。