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【絵本】勇者と魔王と死人の鎧 [古都デュナルベルグ] | DLsite 同人 – R18

    【絵本】勇者と魔王と死人の鎧 [古都デュナルベルグ] | DLsite 同人 – R18

    あらすじ

    勇者はただ勇敢で聡明でした、ただ苦しむ人々を守りたかった。
    魔王はただただ悲しかった自分と同じ犠牲を生み出したくなかった。二人を巡る死人の鎧…


    飾り窓で飾られた物静かでどこか悲しい物語の絵本をお楽しみください。

    サンプル

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    レビュー

    死人の鎧という魔術的なアーティファクトが、この物語のカギとなっています。主人公である勇者は、強大な魔王の軍勢に敗北し、死人の鎧の禁忌の力で亡者として蘇ります。死人の鎧は、理屈としては死者は死ないの理屈であり、原理としては鎧を脱ぐと死ぬのでリビングアーマーのように魂を鎧に宿らせる一種の反魂なのだと思います。そして死者にしか用いることができないということで、勇者が最初から着ていなかった理由づけもついています。そんな死人の鎧ですが、装着の際の呪文が非常に悍ましい内容であり、どう考えても碌でもない代物なのが明らかです。サンプルの内容は以上ですが、こで当然の疑問として読者が抱くのが、なぜ死人の鎧は誰にも着られない状態でこの勇者の住む国に安置されていたのかということです。つまり、実はこの死人の鎧はこれまでに何度も必要とされてきたのであろうことが暗示されています。
    このように、死人の鎧がこの世界でどのような立ち位置にあるかを考察することで、この物語はより深く味わえると思います。 強く聡明な勇者と、その敵である魔王の物語。魔王の軍勢の前に力尽き、命を落としてしまった勇者に、神官の娘が禁断の秘儀である死人の鎧を着せて勇者を復活させようとします。死人として復活した勇者は、生前と同じように民衆のためにその力を振るうのですが・
    魔王が死人の鎧に身を包んだ経緯が悲しいですね。全ての犠牲者の想いを託された勇者が再び旅に出るシーンは重い十字架を背負いながら退くことなく進む勇敢さを感じました。 倒そうとしていた魔王が実は・といったパターンは王道な展開なのかもしれません。
    しかし、物語の雰囲気に合った神秘的で綺麗なイラストや、二転三転して分かっていく真実など、値段に対してとても満足度の高い作品でした!
    途中で気分が重くなるような展開もありましたが、主人公の勇者が最後まで筋を通して頑張り続け、ハッピーエンドに至る過程が綺麗で、読めて良かったと思える作品でした! 鎧着せて復活させるところの呪文?詩?とにかくこのくだりが好きです。
    「さぁ詩を唄いなさい(中略)さぁ巡りなさい(中略)さぁ目覚めなさい…」とてもファンタジック。展開が展開だからダークなオチかなぁと思ったし、主人公に課せられた使命が大変過ぎるな…って思ったんですが、登場人物が大半良い人だったのと、大変な使命の代価が苦労した甲斐があるものなので、気持ちよく読み終われる作品でした。
    古都デュナルベルグさんの作品はダーク、切ない、ハッピーエンド、どう転ぶか読み終わるまで予測できなくて、何作読み続けても飽きない楽しさがあります。どんな結末もどの物語も大好きです。 勇者と魔王の名前が出ていたから、最初は単純なストーリーかなと思っていました。
    世界の脅威となっている魔王を、勇者を名乗る者が倒して平和にして終わり、RPGでよく見られる話です。
    ところが、全ての元凶となっていたのは魔王ではなく、勇者でもなかったのです。
    世界を狂わせていたのは死人の鎧でした。
    ですが、死人の鎧を産み出してしまった要因は、それらとは別のところにありました。
    魔王となった男性のエピソードと、彼らからの最後のメッセージに答えが出ています。
    私はそこを読んだおかげで、鎧が誕生した要因が何かに気づくことができました。
    人間の持つ欲望みたいな何か、これを成就させるために必要なモノだということに。
    これは現代社会にも通じる内容だったので、考えさせられる話だなと思いました。
    ラストにある彼らの最後の望みを叶えるため、2人で旅に出たシーンがありますが、その手前のページで感動しました。
    おそらく、彼女だけだったのでしょう。
    他の人間とは違う思いを抱いて鎧を着せたのは。
    そう考えたら少しうるっときました。 絵本と言っても子供というより大人向けですね。子供が見てもわからないということは無いかもしれませんが、大人向けだと思います。
    魔王と戦った末に敗れ、それで勇者を復活させて再び魔王を討伐するという物語となっています。そこで勇者は魔王を討伐しに行くという感じの物語となります。ただ魔王を倒すだけではなくそれにおいてどうなっていくのかを見届けるような作品となっております。