【絵本】純白の黒騎士と涙の女神 [古都デュナルベルグ] | DLsite 同人 – R18
あらすじ
怒りと憎しみに魅了された騎士が、涙を流す女神と出逢い光を取り戻すお話。
飾り窓で飾られた
物静かでどこか悲しい物語の絵本をお楽しみください。
全39ページです。
サンプル
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レビュー
この作品は、完璧な正義の白騎士になるはずだった青年が、黒い剣を剣の神に渡されてしまうことから物語が始まります。この作品には、多くの考えさせられるポイントがあるのです。サンプル画像の範囲で、その例を挙げていきたいと思います。
まず、「【騎士の剣】とはその者の心をうつすもの」という言い伝え。青年は黒い剣を手に入れるのですが、それは青年の心が黒い剣にふさわしいものだったのでしょうか?青年の本性?そも言い伝えは剣の色を指した言葉なのでしょうか?黒い剣を渡される前の青年の様子をこの時点で戻って読み返したくなります。面白いのは、作品のこの部分について読後にも答えが自分のなかで分かれている、解釈の余地があるのです。
次に、青年という人間についてです。彼は、正義の白騎士になりたいと思うわけなのですが、なぜ白騎士になりたいのでしょう?白騎士になりたいから騎士になりたいのでしょうか?騎士として白騎士を目指しているのでしょうか?「少年はその地に伝わる伝説の白騎士にあこがれていました」という絵本の一文と、どこか暗さを感じさせつ美しい少年の挿絵では、やはりこれも読み手によって意見が変わるのです。
この作品は、古都デュナルベルグの絵本ですが、実際この作品は非常に含蓄が深く、考えさせられる内容で、本当に子どもに将来読み聞かせようかなと思うようなお話の完成度でありつ、きちんと大人が読める作品に仕上がっているのが非常に素晴らしいのです。 とても面白く、タイトルにある疑問によって解釈が分かれそうなところがまた面白いと思いました。
主人公の騎士は、黒の剣によって不当に差別され、苦しい想いをすることになりました。
しかし、その苦しい思いがあったからこそ、女神と出会うことが出来、そして互いにとって救いとなる結末を迎えられたと考えられます。
この騎士の凄いところは、黒の剣によって実の父に背中から刺されるということをされながら、憎しみに任せて剣を振るうだけで無く、一応は正義のために黒の剣を使い続けたところだと感じています。
そういった苦難を乗り越え、女神を救える存在だったからこそ、敢えて黒の剣を神から贈られたのかと思いました。
もちろんこれは個人的な解釈なので本当のところはどうか分かりませんが、とても面白かったです! 青年の心を黒くしてしまったものはなんでしょうか。心無い周囲人々の反応がそうしてしまったのだと思います。でもそんな真っ黒になった心を洗ったのもまた誰かの心なんですよね。悲しまないと人を救えない、自分が笑っていたら皆が困るという女神の第三の道の解決法が温かく美しい。騎士があげた最初の温かい思い出が素朴過ぎて、彼の本来の人柄を感じさせられました。 その者の心をうつすもの、それが騎士の剣と彼が住む土地で言われていました。
白ければ心は正義、しかし授かった剣は彼と世間の思惑とは真逆の黒い剣でした。
運命とは、時に非常ともとれる判断をすることがあるんだなと思いました。
それからの彼は黒い剣に相応しい行動を取るようになりました。
父親にされたことも響いたのでしょう。
正義の名前を盾にして、悪と呼ばれる者を倒しまくっていました。
この辺の話の流れは、人間の心の機微を上手く表わしているような気がします。
最も印象に残ったのは涙の女神が登場する後半です。
彼は彼女と出会ったことによって、本当に悪い者だけを倒すようになるなど大きく変化しました。
武器を握っている彼の画像もあるのですが、それまでと違って凜々しかったから、格好良さすら感じられました。
ラストの黒いヤツの話も心に残りました。
正しいことをし続けたま終えたらしく、逆のことが書かれているのが面白いです。
白い剣だろうと、黒い剣だろうと、全ては持つ者次第だと伝えたかったのかもしれませんね。 正義の白騎士に憧れる男と涙の女神の物語。
少年が成人する日、剣の神は何故黒い剣を少年に授けてしまったのか。
そのせいで少年は哀しみを背負うことになります。
正義という大義名分の下、憎しみに囚われ剣を振るうようになった男ですが、ある日涙の女神と出会います。
少年が黒い剣を授からなければ、涙の女神と出会わなかったでしょうから、大局的に見れば剣の神は正しかったのかな。ハッピーエンドで幸せな気持ちになりました。