【絵本】できそこないのおとぎ話【人魚姫のなりそこない編】 [古都デュナルベルグ] | DLsite 同人 – R18
あらすじ
人魚姫にすらなれなかった娘と、忌み子の竜のお話。
飾り窓で飾られた物静かでどこか悲しい物語の絵本をお楽しみください。
内容は表紙+53ページとなっております。
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レビュー
本作「【絵本】できそこないのおとぎ話【人魚姫のなりそこない編】」は、サークル古都デュナルベルグより販売されている、カラーの味のある絵本作品です。本作、人魚姫のなりそこないというキーワードが提示されるもの、主役格の登場人物は竜であるという、人魚姫の作品を知っている人からすると少し驚く始まり方をしますが、悲しみのある暗さの中に美しさのある物語という点ではテーマとしての共通性があるでしょう。
個人的には、冒頭の神による天罰が、竜の暴走への対処とはいえ、不条理な気がしていましたが、物語的な構造を考えてみると、絵本作品としての一種の教訓性も読後には感じられ、深みがあるなと思います。 出来損ないの娘と、出来損ないの竜が織りなす友情といった感じの作品です。出来損ないとあるように、何かしらの意図があって生み出された1人と1匹ですが、何かしらの欠陥を抱えてしまっています。そんな二人の様子から何かしら考えさせられるところがあるかと思います。
ラストは少し切ない感じの終わり方で、読んでよかったなとしみじみと思えるタイプの作品だと思います。 自身を偽物と言うお姫様の姿をした少女。
彼女の最後のお願いは、海の底へ連れ去って存在した痕跡を消してほしいというもの。
発言のあちこちから人魚姫に憧れている節が見られたので、気持ちはわかると思いました。
お願いに対する海の狩り人の解釈が興味深かったです。
海の底に少女を連れ去った点は納得です。今までのお礼を兼ねているのか、優しさも感じられます。
でも魔術都市ユーンデイルにしたことについては、予想外だったのもあって驚きました。
まるで君がいないのであれば、自身もいる価値はないと言っているかのよう。
そんな雰囲気もあったので、気持ちが少しんみりしました。 歪んだ交配のために生まれた最強の竜と、とある陰謀の為に生み出された美しい少女の物語です。
お互い、「なりそこない」ということで、通じ合うものがあるのか、
二人が傷ついた心を癒し合うシーンが切ないです。
唯一心を許せる少女を失った竜が、彼女との約束を守るために自分の命を懸けるところは無常ですね。竜は全てを抱えて天に舞い上がっていきました。
作者氏の作品の中でもかなり切ない物語だと思います。